• アルバムリリースロングインタビュー(後編)

    2016-08-07 update

     

    ============= Masami Takashima インタビュー 後篇 =============

    インタビュー文: 吉田晴子(SOUTH POP

    tokyo pisnalocks のアニバーサリーイベントに出演

    今回はいよいよ、最新作「Fake Night」について。と、その前に、新作を作るきっかけになったある出来事があったという。この20 年で初めての長いお休みを経て、ふたたび新作リリースへ向かうまでに、どんな心の動きがあったのだろう。

     

    吉田(以下──)音楽をやめようとまで思っていたのが、新作を作ろうと気持ちが傾いていったのはなぜですか?

    Masami Takashima(以下M):ジンでも対談した、tokyo pisnalocksのHisayoちゃんという友達がいるんですけど、今 a flood of circle 等のベーシストとしても活躍されている方です。tokyo pisnalocksが去年15 周年を迎えられて、(15周年のアニバーサリーイベントに)声をかけてくれたんです。私がお休みをしているっていうのも本人は知っていたんですけど、でも、「どう?」って声をかけてくれて。で、お祝いだから、せっかくだから、「この日だけ頑張ろう!」と思って(笑)。

    ──(笑)
    M:……と思って、また楽器を触ってみようと思って。そしたら、楽器がねえ、鳴らなかったんですよ。
    ──えっ、どういうことですか?

    M:あの〜鍵盤楽器って、ずっと触ってないと、ときどき鍵盤に色んな不具合が発生したりして、音が出なくなった りするマジックみたいなことが起きるんです(笑)。シンセがもう、どの鍵盤を触っても鳴らなくて。時々は鳴るんで すよ、「ピ、ピ……ピ〜〜(途切れがち)」みたいな。ビックリする現象が本当に起きてしまって、それがすごくショックで。我に返りました。

    ──シンセに触ったのは何ヶ月ぶりだったんですか?

    M:(考えて)半年以上は鳴らしていなかったと思います。

    ──そんなに!

    M:もう楽器にも全然、触れようという気持ちに……なかなか前向きな気持ちになれなくて。

    ──そうだったんですね。

    M:それだけ楽器に触れなかったという事が、人生においてほぼ無かったので。小っちゃい時からず~っと楽器を 触って生活してきてるので、その楽器が鳴らなかったことにも気づいてあげられなかったっていうことが、本当にショックでしたね。で、まあまた頑張ろうと思って。

    ──高島さんを引っ張り出してくれて、Hisayo さんに感謝したいです(笑)。

    M:声をかけてくれるというのが本当に、嬉しかったですね。きっと HisayoちゃんもNaokoちゃんも、東京にリスペ クトしている人達や大好きなバンドがたくさんいると思うんですけど、15周年の節目で私に声をかけてくれたのが すごく嬉しくて。それはちゃんとお応えしたいなあと思って、それで、引き受けましたね。

    ──Hisayo さんはやっぱりリスペクトする存在なんですか?

    M:Hisayo ちゃんは同世代の女性同志、葛藤や、音楽的な話ができて高め合える貴重な人です。バンドも miu mauとtokyo pisnalocks は音楽的にも割と近い部分が多かったので、イベントにお互い呼んだり呼んでもらったり、ベーシストとして全国を回っているので香川に年3回ぐらい(ライブで)来てその度に会ってるから、話す時間もいっぱいあったりして。共感できる部分がすごく多いです。

    ──実際のライブはいかがでしたか?

    M:ライブはわりと緊張したんですけど、東京に行ったのもすごく久し振りだったので。1年ぶりぐらいだったかな。 tokyo pisnalocks の演奏にも2曲参加させてもらって。もう、「ずいぶん私、音楽を離れていたんだな」ってことを実感して。一緒に演奏してみて、温度差がぜんぜん違ったので。ハッとする部分がすごくありましたね。

     

     

    シングル「SOMEWHERE OTEMOYAN VERSION」「LETTER」リリース
    「また頑張ろう」と気持ちを新たに、新作の制作に取りかかり始めた高島さん。それまで作ってきた曲やSoundCloudに上げていた曲を形にしてリリースするべく、アルバムの準備を進めていった。そんな中、今年の4月、故郷の熊本で大きな地震が起こった。

     

    ──アルバムに先駆けて、期間限定シングルを配信されましたね(「SOMEWHERE OTEMOYAN VERSION」 「LETTER」の2曲)。シングルの売上は、熊本地震の義援金として寄付されるそうですが。

    M:熊本は私の産まれた土地です。熊本に育ててもらったという思いが強くあります。私もお役に立てる事はないだろうかと。そんな気持ちで熊本に思いを寄せて、急遽(アルバム収録曲と)別バージョンのトラックをリリースすることにしたんです。

    ──ちょうどアルバムを作っていた頃に地震があったそうですが。

    M:正直、全く冷静にはなれなかったし、いてもたってもいられなかった。たとえばボランティアに行ってお手伝いをしたいなとか、避難所で誰かの助けになれないかなとか、本当に色々考えたんですけど、たった一人の個人でできることってなかなか厳しい、逆に迷惑をかけてしまうなと思って。それならば、私はこちらで出来ることをしようと。

    ──それで急遽、シングルを配信することになって。「Somewhere」はアルバムのバージョンとだいぶ曲調が違い ますね。

    M:シングル用として新たに作ったので、まったく別ものです。(アルバム収録の曲は)今のイギリスの R&B とかその辺の雰囲気で作りたいと思っていました。James Blake とか、FKA twigs とかの感じ。ちょうどアルバム用に制 作していた「Somewhere」の空気感と、以前からトライしてみたかった熊本民謡のおてもやんが頭の中でぴったり 重なったので、フレーズをアレンジに加えて、アルバムから先行リリースしました。

    ──もう1曲「LETTER」という曲も配信されましたが、これはアルバムには入っていない曲ですね。

    M:そうですね。熊本にいる小さい姪と甥が手紙を書くのが好きなので、地震があって姪っ子甥っ子がどうしてる かなあと思って、そういう思いで作った曲です。

    ──私は最初、この曲をそういう地震のこととは知らずに聴いて。自分のことにも置き換えて、誰かのことを思い ながら聴ける曲だなあと。

    M:はい。友人や家族や大切な人を思い出してもらえたらとても嬉しいです。

    ──8月いっぱいまで配信されるので、ぜひたくさんの方に聴いていただきたいですね。

    ※「SOMEWHERE OTEMOYAN VERSION」「LETTER」は、TWIN SHIPS RECORDS の bandcamp で購入できます(8/31 まで)。

     

    Masami Takashima “SOMEWHERE”

    Bandcamp

    http://twin-ships.bandcamp.com/releases

    購入方法はこちら
    http://masamitakashima.blogspot.jp/2016/06/blog-post.html

     

    また、香川のデザイン雑貨店「サンリンシャ」で CDR の販売、通販を行っています。

    http://sanrinsha-jpn.com/shopdetail/000000000651

     

     

    ──いよいよ 8 月にリリースされるアルバム「Fake Night」ですが、これまでのソロ名義「COET COCOET」ではな く「Masami Takashima」にされたのは?

    M:20年の節目として、自分の名前で出すことにしました。あと名前が、COET COCOET(ココエ)って読めないので。単純に覚えてもらうというか、読める名前で出せるというのも、前向きな気持ちでいいかな、と思って。新たな気持ちで先に進めるのは良いかなと思いますね。

    ──節目節目にどかどかっとありますよね(笑)。

    M:それぐらい背中を押して自分でお尻たたいてやっていかないと……女の人ってやっぱり波があるから。それぐらいでちょうどいいのかなっていうか(笑)。

    ──本当アスリートやなあ(笑)。

     

     

    最新アルバム「Fake Night」
    というわけで心機一転、一度ギアが入るとひたすら加速する高島さんらしく、新しい動きを次々に始めていった。自主レーベル 「TWIN SHIPS RECORDS」を立ち上げ、8月に「Masami Takashima」名義でソロアルバムをリリース。タイトルは、「Fake Night」。アル バムを聴いて浮かぶイメージにぴったりなタイトルだと思う。

     

    ──アルバムのコンセプトは?

    M:今回のアルバムは“架空都市の夜”がテーマです。私が住んでいるところは、夜はほんとに静かなんです。こ の墨色の世界の遠くに見えている(架空の)都会を想像して、住んでいたら見えているだろう景色や、ドラマ、光、 歪み、情景などを表現したいなと。実際に香港とかニューヨークとかどこかモデルになる都市があるわけではないです。

    ──かといって、完全に架空でもないですよね。原風景みたいなものがあるんですか?

    M:熊本や福岡に住んでいた頃は、わりとデパートなどのすぐ近くに住んでいたので、私自身は街育ちという自覚があるんです。家のすぐ近くには川が流れていて、川面には夜のネオンが揺らぎ映る。雑踏と夜の川面。その情景がもしかすると、私の思う架空の都会を想起させるルーツなのかもしれないです。

    ──今シティポップとか、都会的な音楽が流行っていますよね。でも、それとも質感が全く違う印象で。

    M:東京から聞こえてくる、都会のすごく賑やかな音楽たちの様子も、その賑やかさにももちろん興味を持って惹 かれていく部分はあるんですけど……。いま香川に住んで、瀬戸内海の穏やかな感じが少しずつ私にも馴染ん できたのかな、というのを感じていますね。

    ──そういった穏やかさは、このアルバムからも感じます。

    M:前々作の「Modern Tempo」というアルバムが四つ打ちのクラブミュージックに近い感じを表現したアルバムで。 私って自分で言うのは変ですけど、大はしゃぎするタイプでは無いんですけど、そこを大はしゃぎした感はあるな あと思っていて。で(今作は)そうじゃない部分で、感情が揺さぶられるような“ふつふつとした感じ”というか。そう いうのが作りたくて。

    ──都会的だけど温もりとか、血の通った感じを感じる音楽だと思いました。

    M:30 代後半になってきたので、“美しさ”とか“艶やかさ”とか、そういう自分なりの落ち着いた感じを出したいなあ と思って。それで(これまでの)曲を集めてみたら、「あ、意外と夜の曲が多いな」って。テーマを絞って、夜を意識 して夜の光、ネオンの光、高速道路のオレンジ色の光(などのイメージを曲に取り入れた)。夜って余計なことを考えちゃうじゃないですか。そういうダークな部分だったり、朝日のあがる美しさとか、漆黒の感じとか、情景的な感じを今回のアルバムで集められたらいいなあと思っています。

    ──ジャケットの写真にも、そういったイメージが込められてるんですか?

    M:ジャケットやアーティスト写真もアルバムのイメージにできるだけ近づけたかったので、フォトグラファーのBEBIちゃんと相談しながら進めていきました。20 代前半のフォトグラファーで、服のスタイリングも彼女です。とってもセンスがよくてコンセプトを的確につかみ取ってくれて、大好きな人です。写真も気に入ってます。

     

     

    レコーディングについて
    ──レコーディングには、エンジニアの岩谷啓士郎さんが参加されましたね。岩谷さんと知り合ったきっかけは?

    M:何年か前に福岡でお会いしたんですよ。岩谷君は同郷(熊本出身)の方で、それでよかったのか?のことを知ってくれていて。東京でずっとお仕事をされていて、現在は奈良に住んでいらっしゃいます。奈良を拠点にACOさんとかトクマルシューゴさんとか奈良のLOSTAGEさんのサウンドエンジニアとか、ギタリストとしても活動されていて。次にリリースをする時には、ボーカルはエンジニアさんに録音をお願いしたいと以前から考えていたので、香川からも奈良は割と近いですし、オファーをしました。

    ──お願いしたいと思ったのはなぜですか?

    M:岩谷君が(ギタリスト兼エンジニアとして)参加されているACOさんのCD (「TRAD(2013)」「Valentine(2015)」)を聴かせていただいたんです。Crypt Cityの中尾憲太郎さんがベースを弾かれていたりして。一つ 一つの楽器の良いところが合わさっていて、ACO さんの新しいボーカルがマッチしてすごく良くて。ACO さんの2000年前後のR&Bのアルバムがすごく好きで聞いていたので、新たなアプローチがとても新鮮に感じたのと、ACOさんのボーカルが素晴らしかった。ぜひ一緒にやりたいと思って、私からご連絡しました。

    ──何日ぐらいレコーディングしたんですか?

    M:当初 3 日の予定だったんですけど、スケジュールはタイトでしたが集中したら2日間に集約できました。今回はボーカルやコーラスメインの録音でしたが、カウベルやクラップなどのうわもの、そして、スタジオの中にいると 聞こえてくる近くを通る電車の音がとっても良かったので、スタジオでその電車の音も録音させてもらいました。

    ──岩谷さんとレコーディングして良かったな、と思うところは?

    M:「In a fog」という曲のコーラスワークでは歌詞の内容や印象を理解してくれていて、「ボーカルよりも低い位置での旋律の方がいいのでは?」っていう提案をしてくださって。自分の作品では、一人で完結してしまうことに、一人よがりを感じて少し戸惑いがあって。そういう別の視点から客観視した部分が音にはとても大事だなと思って いたことと、自分で歌ってボーカルを録音するのって難しいので、技術面ではおまかせしたいという気持ちもあって。色々フレキシブルに対応してくれて、お願いして良かったです。

     

     

    影響を受けた音楽
    ──「SOMEWHERE OTEMOYAN VERSION」制作時のお話でJames Blake等の名前も挙がりましたが、アルバムを作るにあたって影響を受けた音楽はありますか?

    M:James Blakeもそうですけど、近年はイギリスのシーンに好きな方が多いです。基本的にシンセものやピアノものがビートと絡むのが好きなので、次にどんな音が生まれてくるのかと思うとわくわくしますね。

    ──ほかに好きなミュージシャンは?

    M:Nite Jewelもすごく好きです。コードを落とし込む上では Robert Wyattや、Antony & the Johnsons、やっぱりピアノを使ったトラックにはどうしても耳が寄ってしまいます。

    ──どのアーティストも個性的ですよね。アクがあるというか。

    M:毒があるというか。そんな人たちがやっぱり好きですね。包み込まれるような感じというか。音楽のルールにとらわれていないというか、その感じはすごくいいなと思います。

    ──「Fake Night」にも、そういう印象があります。聴いていて穏やかな気持ちになれるんですけど、でも穏やかなだけじゃない。言葉に引っ掛かりがあったり、歪んだギターの音が重なったり。

    M:美しいものって、すごい怖いというか。美し過ぎるがゆえに怖いというか。それに近いものに興味があります。 薔薇の花って美しいけど棘があるっていうのと同じ話かもしれない。例えばすごく素晴らしい夕陽を見て、そこに 近づきたいと思っても近づくことはできない、みたいな感じに近いのかな。美しいものに対する畏怖の念じゃないですけど、そういう部分が感覚的にあるかもしれないです。このアルバムを作るうえで。

    ──そういう印象はあります。癒しとは違うんですけど、包み込むような心地良さはあるんですよね。

    M:例えば、爆音が心地良い時ってあるじゃないですか。それと同じですよね。違和感が心地良いというか。今回 はズレズレのビートとか、あえて正しく拍を打ってないとか、ずらしてビートが入ってくるとか、ボーカルもわざとず らしてるとか、結構あるので、“ズレが心地良い”というか、そういうのもポイントの一つかもしれないですね。

     

     

    ダブ、ラップ、英語詞―新たな試み
    ──毎回新しいことに挑戦されていますけど、今回はまず、ダブ・サウンドを結構取り入れてますよね。

    M:BPMが遅い感じで作りたかったので、ダブの要素が取り入れやすかったです。これまでレゲエやダブって全然 聞いたことなかったんですけど、香川で「REGGAE_not_REGGAE NIGHT」(※注)というパーティーがあるんです。 そこで紹介されている音楽がすごく興味深くて。新しい音楽の聴き方を教えてもらいましたね。
    ※注 『非レゲエミュージシャンによるレゲエ的な解釈(裏打ち拍子等)をした曲や、逆にレゲエミュージシャンが演ずる非レゲエ的な曲(SOUL, FUNK, DISCO 等)をハッシュタグで情報共有したり、DJ がレゲエノットレゲエの解釈で選曲するパーティーも行われている』(REGGAE_not_REGGAE NIGHT フライヤーより一部引用)

    ──私もあまり通ってないんですけど、レゲエは高校生の頃すごく流行っていて、ラジオでもよくかかっていて。 ダブサウンドを聴くと、私は懐かしさを感じたりします。

    M:その頃はあまのじゃくだったので、まったく聴いてなかったんです。今聴いたら、新しい感覚でダブやレゲエも 純粋に楽しめるのが良いなあって思います。

    ──あと、ラップの曲がありますよね(「Cosmic Sea」)。これはラップと言って良いんでしょうか?

    M:ラップとは言いづらいんですけど、メロディーのような、語りのような気持ちで歌っています。

    ──こういった歌い方の曲は、今までにもありましたか?

    M:coet cocoeh 初期にはピアノと語りというスタイルのトラックもありました。miu mau でもありますね。メロディーとはいえないような、「ワ、ワ、ワ、ワ、」とかそういう感じで、メロディーだけど楽器みたいな感じで扱っている曲も結構あって。あと言葉を詰めたかったので、必然的にラップっぽくなってるんです。

    ──この曲を聞いた時に、とんちピクルスさん(福岡のミュージシャン)のラップに近いものを感じました。

    M:そうかもですね。「鍾乳洞の長い旅(とんちピクルスの曲)」とか、近いかもですね。
    ──(ライブで、とんちピクルスさんと)コラボしてほしいな、と思ったりもした曲だったんですけど(笑)。

    M:勉強します(笑)。

    ──そして、英語の歌詞が増えましたね。

    M:miu mau で以前アナログレコード(モノクローム)を出したんですけど、海外の方から聞いていただく機会が多くて。私の拙い英語で、少しでも海外の人に聴いてもらえたらいいなあと思って。英語が得意じゃないので、今までほとんど歌うことも無かったんですけど、むりやり英語で歌って。

    ──海外の方に聴いていただく機会が多かった、というのは?

    M:サウンドクラウドで、英語詞のものが人気がありましたね。

    ──反応というのは、コメントとか?

    M:わざわざ Facebook に「この曲良かったよ!」とメッセージをくれたりとか。それがほとんど海外の人なんですよ。 色んな国の、インドネシアとかフランスとか。インディー調の曲の感じも良かったと思うんですけど、英語で伝わりやすかったのかなっていうのは思います。

     

     

    多彩な 11 曲を収録
    ──新しい試みも多い一方で、原点ともいえるピアノ弾き語りの曲(「ロマン派の恋」)もありますね。

    M:パソコンでトラックを作っていくと、それ以外の、もともと自分が始めたルーツに戻りたくなるというか。そこでピ アノが登場するんです。「ロマン派の恋」という曲は以前からライブで時々歌っている曲で、結構暗い曲なんです けど(笑)これがわりと評判が良くて、アルバムに収録したいなと思っていて。岩谷君とのレコーディングの時に、 ピアノを使わせてもらえることになったので、1曲だけ弾き語りの一発録りです。

    ──ピアノのインスト(「Night River」)も同じピアノで録ったんですか?

    M:これは違います。ピアノはね、いちばん自由に曲が作れるというか。自分でトラックを作っている時とピアノに 向きあっている時で、音を作る脳がまったく違うんです。ピアノの時は、パーンと音が体に馴染んで、ピアノの音 に合わさっていくという感じで、なんというか、体で音を鳴らすという感覚なんですけど。パソコンでトラックを作る 時って、ものすごく冷静な部分が必要になっちゃうんです。そもそもビートから先に作りますし、手法もまったく違 う。まったく違う脳でできることがすごく楽しくて。今両方やりたいので、(ピアノの曲も)収録しました。

    ──アルバム全体では夜の都会のイメージで統一されてますけど、R&B もあればダブもあればピアノもあるって いう……なかなかここまで幅広い感じは無いですよね。

    M:なんかぐちゃぐちゃですけどね(笑)。

    ──でも色んなタイプの曲があっても、トータル感はあるなあと思います。

    M:最終的には……桑田佳祐さんの話になるんですけど。桑田さんって何をつくっても桑田佳祐だけど、すごく流 行りの音楽とかも取り入れていて、アレンジされたりとかしてるのってすごいなあって思うんです。(新曲「ヨシ子さ ん」の歌詞に)EDM という言葉を敢えて入れてみたりとか(笑)。(音楽に)めっちゃ詳しいのに、“桑田佳祐”って なるっていう。いちばん理想ですね。音楽をちゃんと作ってるけど遊んでる感じというか。遊んでるけどちゃんと作ってるっていうか。なんかもう、理想だなあって本当に思います。

    ──新作のリリースイベントも決まっていますね。

    M:9月23日に高松でワンマンみたいな感じで、イベントやります。ドラムはcowbellsの川崎峰央氏にお願いして、 スペシャル編成みたいな感じで、二人で。

    ──miu mau も動き始めましたね。

    M:レコーディングも予定があるのです。

    ──えっ本当に!? miu mau の曲も作っているんですか?

    M:以前から定期的に新曲をちょこちょこ作っていたんですよ。アルバムとまではいかないかもしれないですけど、 待ってくれている方もいるかもしれないので(笑)出せたら良いかなと思って。

    ──待っている方いっぱいいると思いますよ。私の周りでも、ライブが決まって喜んでいた人いるし。

    M:ビックリしました(笑)。そんなに待ってくれているとは思っていなかったので。がんばります(笑)。

     

    “Fake Night” Release Party

     

     

    アルバムリリースロングインタビュー前編

    アルバムリリースロングインタビュー(前編)

     


      

      

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